うまくいかない現実が作品を面白くしてくれた :第11回12歳の文学賞・贈賞式 受賞者の挨拶

 

 小学生限定の新人公募文学賞「12歳の文学賞」は、12歳(12回目)を迎える今回が、最後の募集です。

2016年に作品を募集し、2017年3月に受賞者が決まった「第11回12歳の文学賞」の贈賞式は、2017年3月30日、各賞の受賞者6名と保護者のみなさん、審査員が参加して行われました。

才能あふれる子どもたちが集結! 「第11回12歳の文学賞」贈賞式レポート
小学生限定の新人公募文学賞「12歳の文学賞」は、いよいよ12歳(12回目)となり、最後の募集となりました。 毎回、才能あふれる子どもた...

各賞を受賞した6人の挨拶をご紹介します。ユニークで素晴らしい作品を書いた受賞者たちの、個性あふれるスピーチをお楽しみください。

大賞・川内千歳さん(小6)「天敵の攻略法」

昨年、来年も来たいと思っていたこの場所にまた来ることができて夢のようです。これは、私が煮詰まった時やマラソン大会に行く車の中でこそこそ書いた作品です。

緊張感に耐えられなくなった時、書いていると楽しくなるような、顔がにやけてくるシーンばかりを盛り込んで書きました。現実でうまくいってなかったことが作品をおもしろくしてくれたのかもしれません。

自分が早く走れない時も作品の中の武緒くんは早く走ってくれた。心が折れそうな時、いつもキャラたちが私を救ってくれたのです。私の弱いメンタルを助けるように武緒くんたちが頑張ってくれたおかげで、小学校生活の最後が最高のものになりました。

私もキャラたちのような強いメンタルを身につけ、輝けるように頑張ります。

優秀賞・寺田七海さん(小6)「ワライクエスト」

私は4日前まで、3年間、ラオスという国に住んでいました。そこでは様々な国籍の子どもたちが英語で学ぶインターナショナルスクールに通っていました。そこは入れ替わりが多い環境で、たくさんの出会いと別れを経験しました。

1年目、まったく英語が喋れず、周りの人たちとコミュニケーションがとれなかった。2年目、初めて親友との別れを経験しました。親友が帰国してしまったからです。そして3年目、私自身が帰国することになりました。

こういった悲しい時、さみしい時、つらい時がたくさんありましたが、それ以上に楽しい時、嬉しい時、ワクワクする時がありました。それはやはり友だちと過ごすひと時があったからです。

たとえば、とりとめのないおしゃべりをしたり、子どもっぽい遊びにみんなで挑戦したり。その中でも一番楽しかったのは、みんなで冗談を言い合って笑うひと時でした。みんなで笑い合った清々しい気持ち、明るい気持ちはこれからも忘れません。

日々の暮らしの中での笑いの大切さをいろんな人に伝えたいと思って、この「ワライクエスト」を書きました。この短い小説を読んだあと、少しでも愉快な気持ちになっていただけたら幸いです。

優秀賞・日向開紀くん(小6)「ヒナステラのクラシック」

受賞したことはとても嬉しいのですが、読み返すと直せばよかったな〜と思うところもあり、小恥ずかしくなります。たくさん恥じて次回作に生かしたいです。

実はこの作品に多大な影響を与えた小説があります。それは安部公房の『S・カルマ氏の犯罪』です。読んで、「これだ!」と心が震える感覚を覚えました。僕の小説にも活かせると思い、いろいろ調べるうちにシュルレアリスムを知りました。

今はリアリズムの時代です。テレビは鮮明な動画を送り出し、ロボットは限りなく人間に近づくように開発され、リアルタイムのネット情報をみんなが求めています。でも、真実を装ったリアルな嘘があると僕は思っています。

時代には波があり、リアリズムの時代の次はシュルレアリスムの時代がまた来ます。それまで僕は自分の技術を上げていこうと思います。続けるからこそ意味がある。僕はこれからも小説を書き続けます。

>>次ページ: “足くさ”、そして“恋”、ユニークな作品が生まれた背景

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